公園や学校の鉄棒をじっくり観察したことがあるだろうか。最近錆びない金属製の鉄棒も出てきているが、多くの場合それは錆びていて茶色であることが多い。そして、触ってみると表面はザラザラしている。実は、鉄棒はそのままですると、技の達成が困難であるばかりか、手のひらを痛める原因となる。その理由と対策を書きたい。

そのままだと鉄棒は錆びて、ザラザラしている

鉄棒は表面が錆びると、表面がザラザラになり滑りが悪くなる。そうすると技をしているときの摩擦が大きくなり、それだけエネルギーをロスすることになる。つまり鉄棒はできるだけツルツルしていて摩擦が少ないことが、技の達成には重要なのだ。
 また、摩擦が大きいことによって、手のひらの皮をその摩擦で痛め、手の皮が剥けやすなる。鉄棒に慣れていないと鉄棒を必要以上に強く握るために、すぐに皮が剥けて痛みのために意欲を失い、結局「鉄棒嫌い」になってしまう。

鉄棒はする前に磨くもの

 多分したことはないと思うが、鉄棒は練習する前に磨くものなのだ。(見た目が銀色の鉄棒はステンレスなので磨く必要はないが、変に手のひらにまとわりつく感じがして技がやりにくい。錆びてしまうのでメンテナンスは大変とはいえ、私は従来からあるいわゆる鉄棒(鉄の棒)が好きだ。)鉄棒というと茶色というイメージがあるかもしれないが、実は元々そうなのではない。鉄棒は「磨けば光る」ものなのだ。あの茶色は、鉄棒についたサビの色で本来の鉄棒の色ではないのだ。
 磨く時はサンドペーパーを一辺が10〜15cmぐらいの正方形に切り、それで鉄棒を握りしめるようにして左右に動かして磨くとよい。紙やすりの番手は180〜240(大きい方が目が細かい)ぐらいが適当だと思われるが、鉄棒の錆び方による。錆び方がひどい場合は番手の小さいもの(荒い)から順に、だんだん大きく(細かい)していって仕上げるとよい。
 また、磨くときには磨いてとれたサビが粉状になって飛ぶので、目などに入らないよう十分な注意が必要。濡れた雑巾を少し緩めに絞って(水を多く残した状態)でまず鉄棒を濡らし、そこからは磨いては拭き、磨いては拭きを繰り返すとよい。(最終的に綺麗な雑巾で拭いて仕上げる)段々鉄棒の地である銀色が見えてきて、鉄棒はびっくりするほどツルツルになる。紙やすりでなくても磨くことはできるが、鉄棒の形状が円柱形なので、その形にフィットするようなものでないと磨きにくい。

心理的にも、物理的にも効果が・・・

 しっかりと磨いた鉄棒。握ってみるとツルツルしていて、とても気持ちいい。触れていると、何か今までできなかった技もできるような気がして、練習したいという気持ちが高まってくる。さらには心理的にだけでなく、実際摩擦が少なくなることで物理的にも技は達成しやすくなるのだ。ほんとにあともう少しでできる子ならば、よく磨いた鉄棒でやれば、それだけでできてしまうほど・・・。大袈裟ではなく。できない場合、「強く手のひらで鉄棒を握りしめるためにエネルギーをロスしている」ということが非常に多いからだ。いや、鉄棒を始めたばかりだと、ほぼ全員がそうだと言っても過言ではない。だからこそ鉄棒を磨いて、摩擦が少ない鉄棒で練習することは絶大なる効果をもたらしてくれるのだ。鉄棒の練習は、まず鉄棒磨きから始まる。

 公園の鉄棒を磨くことは少し勇気がいるが、磨いたことで迷惑する人はいないだろう。気がひけるなら、自分が練習する鉄棒やお子さんが練習する鉄棒の、手で持つ部分だけを少し磨いてみるといいだろう。それだけでも、今までとは全然違う感触を味わうことができるはずである。

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