回転技には「回転の中心」がある

 足かけ後転だけではなく、全ての回転技では鉄棒を中心として身体を回転させることになる。そして、技によって身体の様々な部位(膝、肘、お腹、大腿、手 等)が「回転の中心」となる。足かけ後転の場合は、その中心はもちろん片方の足の膝である。そして回転技にとって「回転の中心」はとても重要なものであることはいうまでもない。

「回転の中心」を決めるきっかけをつくる

 回る技では最初に体が鉄棒上にある。つまり位置エネルギーを持っているわけである。しかし、回転の中心がしっかりと決まることなく技が開始されると、位置エネルギーを回転のために使うことにロスが生まれる。それを避けるためにはできるだけ早い段階で、「回転の中心」を決めることが必要となる。しかし何となく回転を初めてしまうと、どうしても膝が鉄棒にかかる(中心が決まる)のが遅れてしまう。 
 そこできっかけをつくるためにある方法を使う。回転の中心を一挙に決めるために、動きの反動を使うのだ。必要な次の動きを引き出すために反動を使うことは、スポーツの世界ではよく行われている。ここでは鉄棒にかけていない方の足を「小さく前に振る」ことを、次の動作である「大きく後ろに振る」という動作を導くきっかけとする。
 一(イチ)というかけ声で足を小さく前に振り、二(ニー)というかけ声で後ろに大きく振る。かけ声は口に出しても良いし、心の中でつぶやいてもいいが、動きをスムーズにするためのものである。この二(ニー)の足を後ろに引くという動きで、膝は鉄棒に一挙にかかり「回転の中心」が決まることになる。(二)ニーの図は次回の足かけ後転のコツ③を参照)
 足の引き方は、練習の最初の段階ではできるだけ大きくする。それは大きく足を引いて振ることで、大きな回転力を付加することができるからである。しかし、技を達成することができ上手になってくると、それほど大きく引く必要はなくなる。余り回転力を付加すると回りすぎてしまう事になり、鉄棒上で静止する事ができなくなってしまう。最終的には足はほとんど使わずに、位置エネルギー(落ちていく勢い)だけで回るのが理想である。鉄棒の極意は、できるだけ自分の力を使わず、使える力(例えば位置エネルギー)を無駄にすることなく使って技を行うことなのだ。

 ここでは「コツ」という言葉を使っているが、「コツ」では軽すぎ、「極意」では重すぎる気がしてどちらを使うか少し迷った。その時なぜコツという言葉はカタカナなのだろうと不思議に思い調べてみると、もし漢字で書くとすると何と「骨」だということがわかった。まあ、色々誤解を生みそうなので、そりゃカタカタ使うよなぁ・・・。こぼれ話でした。


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著者

輝空

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